
はじめに|キャリアビジョンは「あなたの未来設計書」
面接でよく聞かれる「将来どうなりたいですか?」「10年後は?」という質問。これに明確に答えられる人は意外と少ないのが実情です。
キャリアビジョンは、「今後どんな成長を目指しているか」を言語化すること。その答え方一つで、企業とのマッチ度や主体性が伝わります。
この記事では、キャリアビジョンの答え方のコツと、実践的な例文を紹介します。
1. なぜキャリアビジョンを聞かれるのか?
- 将来像と企業が合っているか
⇒ミスマッチの防止 - 自分の言葉で未来を描けているか
⇒考える力・目標志向性のチェック - 入社後の成長イメージがあるか
⇒入社意欲と継続性の見極め
つまり「何となく働きたい」人よりも、「◯年後にこうなっていたいから今この会社で頑張りたい」という意志がある人の方が、企業は一緒に働きたいと感じるのです。
2. キャリアビジョンの考え方|3つのステップで整理しよう
ステップ①:興味・関心を言語化する
「どんな仕事にやりがいを感じそうか」「社会にどう貢献したいか」など、将来の方向性を言語化します。
例)
- 人の人生に関われる仕事がしたい
- 地方創生に携わりたい
- モノづくりの現場に関わっていたい
ステップ②:実現に必要なスキルや経験を逆算する
目指す未来に必要なスキル・経験を洗い出します。
例)
- マネジメント能力が必要
- 営業での実績が求められる
- 異文化対応力を高めたい
ステップ③:その実現に向けて「なぜこの企業なのか」をつなげる
志望企業での経験が将来にどうつながるかを具体化します。
3. キャリアビジョンの答え方のコツ|面接で差がつく3ポイント
ポイント①:10年後の姿を具体的に描く
「リーダー職についていたい」「新規プロジェクトを担当していたい」など、抽象的な夢ではなく、イメージできる将来像を。
×「成長したい」→抽象的すぎる
◯「5年目にはチームをまとめるリーダーとして成果を上げたい」→具体的
ポイント②:「今」の行動とつなげる
未来の話だけで終わらず、「だから今これを頑張っている」という行動で説得力を高めます。
×「海外で働きたい」→夢語りで終わる
◯「だから英語の勉強や異文化交流を続けている」→実行力が見える
ポイント③:企業で働く未来像とリンクさせる
企業での成長ストーリーが描けるとベスト。将来像と企業の強みをつなげることで「この会社でなければ」の説得力が出ます。
4. NG回答例|こう答えるとマイナス印象に…
×「10年後には起業していたいです」
→企業に腰掛けに見えるリスク。入社後の展望が感じられない。
×「全く想像がつきません」
→将来を考えていない=成長意欲がないように見える。
×「出世したい」
→気持ちはOKだが、具体性や根拠がないと説得力に欠ける。
5. キャリアビジョンは「現在・過去・未来」をつなぐ
キャリアビジョンは、志望動機・ガクチカ・自己PRと一貫性を持たせることが大切です。
たとえば、
- 過去:何にやりがいを感じてきたか
- 現在:どんなスキルや価値観があるか
- 未来:それを活かしてどうなりたいか
この流れを意識すると、説得力のあるストーリーになります。
6. 業界別キャリアビジョンの回答例
①【総合商社】
10年後には、海外での駐在経験を活かし、現地パートナーとともに新しい事業を開拓するビジネスプロデューサーとして活躍していたいと考えています。そのためにまずは、貴社の多様な事業領域で経験を積み、グローバル感覚と交渉力を養いたいです。
②【メーカー(製造業)】
技術と社会課題をつなぐ製品開発に携わり、10年後には、誰もが安心して使える製品の開発リーダーを目指したいと考えています。大学では素材研究に注力しており、入社後は製品化の実務経験を通じてお客様視点の開発力を高めていきたいです。
③【IT・Web業界】
将来的には、ユーザー視点でプロダクトを改善し続けるプロダクトマネージャーとして、社会に価値あるサービスを提供できる人材になりたいと考えています。そのためにまずはエンジニアとして現場理解を深め、企画や開発の橋渡しができる力を養っていきます。
④【金融(銀行・証券)】
10年後には、法人営業や資産運用の経験を活かし、中小企業の成長戦略を金融面から支援するコンサルタント的存在を目指しています。まずは一人ひとりのお客様と向き合う仕事から、信頼を築く力を身につけていきたいです。
⑤【広告・マスコミ】
クライアントの課題に最適なアイデアで応える広告プランナーとして、10年後には大型キャンペーンをリードする存在になっていたいと考えています。企画力や市場分析力を磨くために、まずはアシスタントとして経験を重ねたいです。
⑥【航空(CA・GS・総合職)】
10年後には、フライトだけでなく、教育担当やチームリーダーとして後輩指導にも携わる客室乗務員になっていたいと考えています。お客様だけでなく、仲間にも信頼される存在になるために、まずは一つひとつの業務に丁寧に向き合っていきます。
⑦【コンサルティング】
10年後には、特定業界のスペシャリストとして企業の中長期戦略をサポートできるコンサルタントを目指しています。現場での課題抽出力やロジカルシンキングを磨き、信頼される“パートナー”としての存在価値を高めていきたいです。
⑧【公務員・官公庁】
10年後には、地域の声を政策に反映し、持続可能なまちづくりを進められる行政職員を目指しています。まずは現場で住民の声に耳を傾け、地道な実務経験を通じて課題解決の力を養いたいと考えています。
⑨【教育業界(塾・学校・教育系企業)】
10年後には、教育サービスの設計や教材開発に携わる立場で、多くの子どもたちの可能性を広げる仕組みをつくっていたいと考えています。まずは現場の指導や保護者対応を通じて、教育の本質を学んでいきたいです。
⑩【人材業界】
10年後には、個人と企業の最適なマッチングを実現するキャリアアドバイザーとして、多くの人の人生の転機に寄り添える存在になりたいです。まずは法人営業で企業ニーズを深く理解し、信頼関係を築ける力を養っていきます。
7. まとめ|キャリアビジョンで「一緒に働きたい人」になろう
面接官は、あなたが“どんな働き方をしたいか”と同時に、“自社で長く活躍できるか”を見ています。
「こんな未来を実現したいから、今はこの企業で頑張りたい」という一貫したメッセージが伝われば、強力なアピールになります。
未来はまだ未確定。でも、目指す姿を持ち、自分の言葉で語れる人は面接で必ず強い。
今のうちに、自分なりのキャリアビジョンを言語化しておきましょう。
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